同行曽良は河合氏にして惣五郎と云芭蕉の下葉
に軒をならへて予か薪水の労をたすく 此たひ松嶋
象潟の眺共にせむ事をよろこひ且は羈旅の難を
いたはり旅立暁髪を剃て黒髪にさまをかへて
宗悟とす仍て黒髪山の句有衣更の二字力有て
きこゆ
二十餘丁山を登って瀧有岩洞の
頂より飛流して百尺千岩の碧潭に落岩窟に身を
ひそめ入て瀧の裏より見れはうらみの瀧と申伝え
侍る也
暫時は滝にこもるや夏の初
那すの黒はねと云処に知人あれはこれより野越
にかゝりて直道をゆかむとす遥に一村を見かけて
行に雨降り日暮るゝ農夫の家に一夜をかりて明
れは又野中を
行そこに野飼の馬あり草刈おのこになけきよれは
野夫といへ共さすかに情しらぬにはあらすいかゝ
すへきや共此野は東西縦横にわかれてうゐ〃
敷旅人の道ふみたかへむあやしう侍れはこの馬
のとゝまる処にて馬を返し給へとちいさきものふたり
馬の跡したひてはしるひとりは小娘にて名をかさねと
云聞なれぬ名のやさしかりけれは
0 件のコメント:
コメントを投稿